今回は、YouTubeを運営する上で最低限知っておかなければならない著作権と引用についてです。
著作権について話すとかなり長くなってしまうので、特に大事な引用についてお話しをします。
これからYouTubeを運営していく上で可能な限りリスクを減らすためのとても大切なお話なのでしっかり覚えておいてください。
また、今回の引用はYouTubeに限らず、ブログなどの他の媒体でも応用できますのでしっかり覚えておきましょう。
著作権と引用の注意点
実際に著作権違反をするとどうなってしまうのか?
かなりのリスクを背負うことになるので、実際にあった事例を少しお話しします。
ポリシー違反や法律に触れることをした結果
「ファスト映画」という言葉を知っていますか?
ファスト映画とは?
無断で映画の映像や静止画を使用し、字幕やナレーションを付けてストーリーを明かす短めの動画のこと
もう少し詳しくお話ししましょうか。
「ファスト映画」は、わかりやすくいうと10分程度の「ネタバレ動画」です。
実際に逮捕者が出たり、 1000万円超の賠償金で映画会社と和解したという話もあります。
2021年の春ごろからYouTubeへの投稿が相次ぎました。
実際は、2020年の春くらいから水面下で動きはありました。
2021年の6月にはファスト映画を公開して違法に広告収入を得ていたグループを宮城県警察本部が著作権法違反の疑いで全国で初めて摘発し、逮捕・起訴され、同じグループの2人が書類送検されています。
このうち書類送検された神奈川県川崎市に住む20代のナレーターと映画会社の1社が当事者間で和解交渉を進め、1000万円を超える賠償金を支払うことで合意したことが関係者への取材でわかりました。
※↓このようなchです。こちらは上記の事件とは別のchです。
実際に、ファスト映画を見ることで本編を視聴しなくなって生じた被害の総額は・・・956億円相当と言われています。
問題なのは、このファスト映画以外でも、この著作権に触れることを「引用」と言い張る人がいるんですね。
でも、そういう人に限って「引用」をきちんと説明できる人はほとんどいない・・・というのが現実です。
実際にYouTubeの中で「引用だから大丈夫です!」と概要欄に書いている人がいますが、間違ってて驚きました。
そのような事実から、「他のchの真似をすれば大丈夫」という間違った認識が広がっています。
ですので、今回は、この特に著作権の中でも「引用」について覚えておきましょう。
では「著作権とは」何かですが・・・
著作権とは?
どのような権利なのか。
まず最初に、
人が独自に、自分で創り出した画像や文章などの表現物を「著作物」といいます。
その著作物を作った人のことを「著作者」といいます。
そして、著作物が他の人に無断で利用されたり転載されたりしないように、著作者を法的に守ってくれる権利のことを「著作権」といいます。
画像や文章などにこの著作権が認められると、無断でこれらを転載したり利用することは「著作権侵害」として違法になるわけです。
では、著作権を使って良い場合と言うのは、一体どんなときなのでしょうか?
著作物を使っていい場合は?
1、著作物ではない場合 (アイデアとか、挨拶、歴史的な事実やデータなど)
・著作者の死後50年以上経過した
・著作物公表後70年を経過した映画の著作物
2、著作者の許可を得ている場合
言わずもがな、許可を得ている場合はOKです。
3、引用
この3つ。
そして、YouTubeなどでは3の引用を多用することがあるので、ここから説明していきます。
その前にまず「引用」とごっちゃにしてよく間違われる「転載」についても覚えておきましょう。
引用と転載の違い
「転載」とは他人の著作物の大部分を複製・コピーして利用する行為のことをいいます。
引用のレベルを超えたものが転載、という認識でオッケーです。
転載は、著作者からの許可がある場合のみ使用可能となります。
言い換えると、転載は、著作者に無断で行うことは許されません。
それでは、前知識もついたと思いますので「引用」について解説していきます。
引用とは?
他人の著作物を無断で利用する方法。
しっかりと引用の条件を守れば、違法になりません。
例えば、何か自論を展開しようとしたときなど、その根拠として誰かの文章を引用すれば、より説得力や信頼度が増しますよね。
これに応えたものが「引用」のルール
・必然性
・明瞭区別性
・主従関係
・出典元の明記
・改変しない
これらを満たしたものです。
よく、引用引用といっていますが、実際のところはこの5つを満たしたものを正確には引用というので覚えておいてください。
また転載と引用はわかりやすく違いを言うと、使う割合です。
割合が多くなるとそれ自体がコンテンツになりかねないので許可もいるということです。
基本、引用であれば許可はいらないので多くの人がやっています。
ただし、リスクもあるのでここからはそれも含めて説明していきますね。
必然性
他人の著作物を引用する必然性があること。
つまり、何かを説明するためにその画像や動画などが必要であることが1つ目の条件です。
「他人の著作物を引用しなければ説明ができない」という状況でなければなりません。
そのため、単純に「この人の画像や動画を自分のコンテンツに載せたい!」という理由だけでは引用はできないことを理解しておく必要があります。
具体的には、例えば、ある漫画について考察がしたいシーンがあった場合。
そのシーンがどんなものなのか分からないと読み手には何も伝わらないですよね。
このような場合にはその漫画のワンシーンについて引用の必要性があるということができます。
これはそんなに難しくはないですね。
明瞭区分性
自分の著作物と引用部分とが区別されていること
これは、オリジナルの動画の範囲がどこで、使用した画像や動画の範囲がどこかという意味です。
例えば、画像のようにオリジナルの動画の中に、枠線を作り、その枠線の中に引用として使いたい画像や動画を差し込む。
そして、動画内でもその旨をアナウンスしたり、引用元を記載すれば、ここの部分が引用部分であるということは、誰から見ても明らかですよね。
また、動画はブログなどと違い、時間の経過で引用部分と引用していない部分が映像で分かれます。
ですので「引用開始時間」と「引用終了時間」を明示するとさらに良いと思います。
これに関しては、あるとよりいいと言うことなのでなくても大丈夫です。
不安であれば説明欄に記載しておきましょう。
主従関係
自分の著作物と引用する著作物との主従関係が明確であること。
つまり、メインの動画はどっちか。
メイン(主)がオリジナルの動画であることが明確にわかるような使い方をしなければならないと言うことです。
引用部分はあくまでも補足でなければならないというものですね
この画像は枠内に静止画を入れていますが、これが映像であってもOKです。
また、もう少し詳しくお話しすると
主従の関係は、単純にオリジナルの著作物の量が、引用著作物の量より多ければ良いというものではありません。
引用の目的、主従の性質、分量等を総合的に見て、個別具体的に判断されるので注意してください。
引用部分はあくまでも「根拠」を示すためのものであるということを忘れないようにしましょう。
もし作成したコンテンツ内のほとんどが引用部分だった場合には、原則どおり著作権侵害になるため注意が必要です。
「なるほど。主従関係っていうんだからオリジナル部分が引用部分より多ければいいんでしょ?じゃあ6:4で!」
これもダメです。
この点については、引用部分の割合は全体の1割程度までにとどめることが推奨されています。
つまり、引用として認められるためには、オリジナル部分と引用部分との間に圧倒的な差が必要だということです。
そのためにこのチャンネルの説明欄には上の画像の右のように細かく書かれています。
出典元の明記
最後は出所の明示がされていること。
引用した画像や動画の作成者と、どこにあった画像なのか、動画なのか
情報源を明確にしなければならないということです。
Webサイトから引用したのであればその「サイト名」や「URL」を記載します。
左下にワンピースのクレジット、引用した画像にはクレジットと本の巻数と話数がありますね。
明示の方法は
①動画内にて明示する
②概要欄にて明示する
という2種類の方法があります。
両方ともやっておいた方が安心です。
今回引用させていただいたチャンネルはこちらのワンピース考察チャンネルのユデロンです。
実際にどんな感じで引用しているかはぜひ自分の目で確かめてください。
改変しないこと
手を加えずにそのまま引用しなければなりません。
この「もっちー先生」というチャンネル。
先程のユデロンと同じでワンピース考察チャンネルなのですが、ワンシーンの色を変えているんですよ。
改変というのは元のものと違うものにすることなので厳正な判断をするとこれはちょっとグレーです。
これら5つの条件を満たしていれば引用ができる、つまり、許可を得なくても無断で使用できるということです。
言い換えれば、これら5つの条件を満たしていないと引用と認められないということでもあります。
ここで引用についての素朴な疑問が出ている方と、これから出てくるであろう疑問について回答します。
引用の素朴な疑問
・権利者の許諾がないと引用は認められない?
・著作権法上の引用要件を満たしている場合でも、権利者への通知も行う必要がある?
・「引用します」と権利者に伝えれば適法になる?
・出典さえ明記すれば適法になる?
引用条件を守っているのに実際に権利者に許可を求めるとどうなるのか?
一言で言えば、使えなくなる可能性があります。
めんどくさいことになる・・・。
法律上OKなのにあえて聞くとデメリットが発生する。と言うことです。
例えば、「ダメです」って言われたら法律上はOKでも権利者の意思を尊重した場合に利用を控えざるを得なくなる。
「だめって言ったのになんで使ってんねん。」という話にもなりますよね。
引用のリスク
ほとんどの場合、しっかりと引用条件を守っていれば大丈夫ですが、度が過ぎたり、引用元の作品などがマイナス評価を受けるような内容だと稀に、公式や視聴者から通報されていきなりBANされたり収益剥奪はあり得ます。
また、引用の割合を超えて転載になっていたり、公式が明らかに他プラットフォームでの使用を禁止している場合も注意が必要です。
もし、調べないで動画を作り通報されて、収益剥奪などになっても文句は言えません。
その理由は、自分で調べなかったことが原因だからです。
法律を無視すればどんなリスクがあるのかを、事前に調べておかなかった自分が悪いということになります。
ですので、著作権に関しては気をつけるようにしてください。
ちなみに、今回のお話を聞いてからYouTubeを見ると、他の人がどれだけ著作権違反をした動画を出しているかがわかります。見えてきます。
そうすると、他の人がやっているから自分もやっても大丈夫だろう。という気持ちが芽生えてくるんです。僕も当初はそうでした。
でも、さっきも言いましたが何かあってからでは遅いです。
他のチャンネルも違反しているのに、摘発されるのが自分だけということもあるからです。
でも、文句は言えないのです。
わかっててやったんですから。
なので、最低限「引用」の5つの項目を守って動画を作るようにしてください。
それでもし、公開をやめてください。と言われたら受け入れましょう。
著作権侵害をした場合どうなるのか?
- 民事上のペナルティ
- 刑事上のペナルティ(罰則)
(1)民事上のペナルティ
著作権侵害があった場合、著作者は、侵害した人に対して以下のような請求をすることができます。
- 差止請求(侵害の停止または予防を請求すること)
- 損害賠償請求(侵害により発生した損害を賠償請求すること)
- 不当利得返還請求(侵害によって得た利益を返すように請求すること)
- 名誉回復等の措置請求(謝罪広告掲載など、名誉の回復を求める請求をすること)
(2)刑事上のペナルティ(罰則)
肖像権侵害やパブリシティ権侵害と違って、著作権侵害は犯罪行為です。
この場合、親告罪といって、被害者である著作権者が訴え出ることによって侵害者を処罰することができます。
ペナルティの具体的な内容としては、
- 最大10年の懲役
- 最大1000万円の罰金
のいずれか、または、両方で処罰される可能性があります。
また、両罰規定といって、法人の代表者や従業員が侵害行為をした場合、行為者だけではなくその法人自体に対しても
- 最大3億円の罰金
が科されます。
さらに、利用した著作物の出所をきちんと示さなかった場合にも
- 最大50万円の罰金
があります。
ただし、刑事罰(罰則)が科されるのは、故意(わざと)に著作権を侵害した場合のみであって、ついうっかり(=過失)著作権侵害をしてしまった場合には、刑事罰(罰則)が科されることはありません。
とはいえ、著作権を侵害する行為が犯罪行為であることに変わりありません。
今回解説した「引用」はリスク回避をするための重要な知識です。
気をつけましょう。
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